ジボランの結合の仕方について私が授業で習った考え方を書いておきます。
ジボランの構造
ジボランはこんな形をしています。ホウ素どうしを結んでいる水素を点線で描いたのは、この結合は通常の結合と違い、3つの原子を2つの電子で結びつけるという3中心2電子結合をしているからです。
ホウ素の混成状態を考える
まず、ホウ素の基底状態の電子配置はこんな感じになっています。
ホウ素は4つの原子と結合しているのでsp3混成します。
さて、こうすると、ホウ素は3つの結合をすることはわかります。しかし、ここではまず、端っこの水素二つとの結合のみを考えます。
つまり、sp3混成軌道の2つの軌道を使って、2つの水素と結合しますね。
さて、そうすると、残りのうち、結合に関与するのは電子が1つ埋まったsp3混成軌道と空のsp3混成軌道、この2つになります。
ここからは分子軌道を考えます。
ホウ素の分子軌道を考える
まず、左側のホウ素の電子が1つ埋まったsp3混成軌道と水素の1s軌道、右側のホウ素の空のsp3混成軌道の3つで分子軌道を考えます。図の赤色の部分の結合です。
この3つの軌道から結合性軌道、非結合性軌道、反結合性軌道の3つの分子軌道が作られます。(ちなみに、なぜ3つの軌道なのかの説明は難しいので無機化学の範囲ではあまり求められません。量子化学の範囲になります)
そして、そのうちで、もっともエネルギーの低い結合性軌道に左側のホウ素の電子1つと、水素の電子1つが収容されます。
この3つの軌道から結合性軌道、非結合性軌道、反結合性軌道の3つの分子軌道が作られます。(ちなみに、なぜ3つの軌道なのかの説明は難しいので無機化学の範囲ではあまり求められません。量子化学の範囲になります)
そして、そのうちで、もっともエネルギーの低い結合性軌道に左側のホウ素の電子1つと、水素の電子1つが収容されます。
これによって、たしかにホウ素2つと水素1つを電子2つで結びつけていることがわかります。3つの原子を2つの電子で結びつけているので3中心2電子結合と呼ぶわけですね。
もう1つの結合についても同様です。こちらは左側のホウ素の空のsp3混成軌道と水素の1s軌道と、右側の電子が1つ埋まったsp3混成軌道の分子軌道を考えることで上記と同様な3中心2電子結合を形成していると説明可能です。