固体触媒を用いて有機化学反応を行う場合、必ずと言っていいほど副生成物が生成します。これらの副生成物は固体触媒の細孔が活性点であっても、固体触媒の表面が活性点であっても生成します。
こういった副生成物は Coke(コーク)と総称されます。
工業的な有機化合物の合成過程においてコークは触媒活性を低下させる原因のひとつとなっています。
コークは固体触媒表面の活性点を覆ってしまったり、細孔を塞いでしまうことにより触媒活性を低下させます。
そこで、触媒の再生のため、コークは酸化により除去されますが、なかなかすべてを取り除くことは難しく、やはり触媒の劣化は進んでしまいます。
どのような工業的プロセスにおいても、コークは邪魔者でしかないため、なんとかしてコークをきれいに除去し触媒の再生が可能となることが望まれています。
そこで、コークの出現を抑える機能を持つような触媒の作製を目指した研究などがさかんに行われています。
研究成功のためには、コークがどのような化合物により構成されており、どのようなメカニズムにより生成するかについての深い理解が必要となりますが、いくつもの有機化合物から構成されるコークを触媒から回収し、分析するという作業は困難を極めるため、このあたりの理解がなかなか進んでいないという現状があります。難しい世界ですね。