Newman投影式(ニューマン投影式)から読み取る配座異性体の安定性

2019年2月2日土曜日

有機化学

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Newman投影式から読み取れる配座異性体の安定性について説明します。(以降、簡略化のためニューマン投影式と記します)


今回、説明の例としてここに、ブタンを用意しました。

$\overset{\class{num}1}{C}H_{3}-\overset{\class{num}2}{C}H_{2}-\overset{\class{num}3}{C}H_{2}-\overset{\class{num}4}{C}H_{3}$

さて、このブタンのうち C2-C3結合についてニューマン投影式を書きます。
それらを全パターン網羅すると、以下の図のようになります。
(※なお、手前がC2の置換基を表していて奥がC3の置換基を表しています。ちなみに大きな円はC3を表しています。)



A~Fの構造のうち

赤色で書かれたものを重なり型と呼び、

青色で書かれたものをねじれ型と呼びます。


重なり型というのは文字通り、C2の置換基とC3の置換基が重なっている状態です。重なってると書けないので、少しずらして書くというのがルールです。ちなみに、右側にずらしても左側にずらしても同じものを表します。

これらをすべて配座異性体と呼びます。配座異性体では、置換基の位置によって安定性が異なります。以降、配座異性体の安定性について説明します。



配座異性体の安定性

配座異性体の安定性が異なるのは立体ひずみによる影響です。つまり、置換基同士が近づくとそれぞれの置換基同士で反発しあいます。この反発が大きいほど安定性は下がります。

言い換えると、置換基が近いものどうしは安定性が低いということです。

さらに、置換基が大きいほど、反発は大きくなりま

この2点をふまえて考えると、配座異性体の安定性を決定することができます。

まず、ねじれ型重なり型より安定です。

さらに、ねじれ型の中でも、大きな置換基である$CH_{3}$どうしが最も離れているCが最も安定です。AとEの安定性は等しいです。ちなみに、AとEのことをゴーシュ形配座異性体、Cのことをアンチ形配座異性体と呼びます。

重なり型では$CH_{3}$と$H$が重なっているBとDはまだ安定です。(不安定だが、まだマシという意味)

一方で、$CH_{3}$どうしが重なっているFは最も不安定です。

よってすべての配座異性体について安定性を比べると以下のようになります。

(安定) C > A = E >>>> B = D > F (不安定)

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