腐った魚のニオイは生臭くて吐き気すら感じます。
我々はどのようににおいの違いを識別しているのでしょうか。
においの正体とメカニズム
いったい「におい」とは何なのでしょう。その正体は化学物質です。(当たり前ですね・・・笑)
我々が特定の化学物質(これをにおい分子と呼びます)を吸い込んだ時、それは、鼻の上の方にある嗅覚受容体という部分に結合します。
受容体に物質が結合することで電気的な信号が発生し、この信号が神経を通って脳へと伝達されます。
これにより、我々はにおいを感じるわけです。
においの種類と受容体の種類
我々人間は、数万種類ものにおいを嗅ぎ分けることが出来ると言われています。(近年では1兆を超えるとの研究も報告されています)
しかし、なんと我々の鼻には嗅覚受容体はおよそ400種類程度しかありません。
なぜ、たった400種類の受容体で、数万種ものにおいを嗅ぎ分けることができるのでしょうか。
これは、我々がにおい分子に反応する嗅覚受容体の組み合わせによってにおいを感知しているからだと考えられています。
例えば、あなたの鼻には嗅覚受容体が3つあるとしましょう。
それぞれ、A、B、Cと呼びます。
あるにおい分子Xがあなたの鼻に入り込んだ時、
この化合物は3つの嗅覚受容体のうちAとCに結合するとします。
すると、あなたの脳には受容体Aからの電気信号と、受容体Cからの電気信号が送られます。これによってあなたはXのにおいを感じ取るわけです。
このように、送られる電気信号の組み合わせの違いによりたった400種類程度の嗅覚受容体で莫大な数のにおいを嗅ぎ分けることができるようになっているわけですね。
しかし、現在のところどのにおい分子がどの受容体に結合するかについてはよくわかっていません。
今後の研究に期待ですね!
しかし、現在のところどのにおい分子がどの受容体に結合するかについてはよくわかっていません。
今後の研究に期待ですね!
においと化学物質
現段階では、どのにおい分子がどの受容体に結合するかについて詳しいことはよくわかっていませんが、どのような分子がにおいを生じさせるかについてはわかっています。
ちなみに「いい匂い」と感じるか「イヤな臭い」と感じるかについては遺伝的要因はもちろん、経験や学習にも基づいていることが知られています。
ちなみに「いい匂い」と感じるか「イヤな臭い」と感じるかについては遺伝的要因はもちろん、経験や学習にも基づいていることが知られています。
さて「いい匂い」の代表と「イヤな臭い」の代表としてバナナの香りと腐った魚のニオイを紹介します。
バナナ・・・酢酸イソペンチル $C_{7}H_{14}O_{2}$
これは、高校の化学でも習うエステルの一種です。酢酸と3-メチル-1-ブタノール(イソペンチルアルコール)の脱水縮合により生じます。この化合物を受容すると「バナナの甘い香り」を感じます。
腐った魚・・・トリメチルアミン $C_{3}H_{9}N$
この化合物はニオイが強いため悪臭防止法により特定悪臭物質に指定されています。
また、詳しい説明は控えますが、トリメチルアミン尿症の原因物質でもあり、やっかいな化合物です。
以上、においと化合物のちょっとした豆知識でした。
この分野はまだまだ研究途上であるので今後の研究が期待されますね。