カルノーサイクルのわかりやすい説明

2018年7月5日木曜日

物理化学

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カルノーサイクルは熱力学のところで大切な分野ですが、熱力学をある程度しっかり理解していないと、わからなくなります。




カルノーサイクルとはそもそも、効率的な仕事をする蒸気機関を作り出すために、考えられました。実際にカルノーサイクルと同じ機械を作ることは不可能ですが、近いものは作れます。

さて、どのようなサイクルによって仕事をしているのでしょうか。
すごく簡単に言うと、気体が高温熱源から熱を貰い、その熱を一部利用して仕事をし、仕事として使えなかった余りのエネルギーを低温熱源に放出するという仕組みです。


具体的には、上の図のように、4つの過程から成り立っています。

①a→bの過程
この過程は等温にして進められます。
気体は、高温の熱源からQ1のエネルギーを貰っています。
等温に保ってエネルギーを受け取ると、気体の体積は増加します。

(さらに詳しく言うと、理想気体の内部エネルギーは温度のみに依存するため、等温変化の場合、ΔU=0です。ΔU=Δq-pΔVなので、Δq=pΔVとなり、Δq>0なので、ΔV>0となります。)

②b→cの過程
この過程は断熱にして進められます。
気体は、断熱状態で膨張させられます。断熱状態で膨張すると、温度は下がります。

(さらに詳しく言うと、断熱変化の時、Δq=0なのでΔU=Δq-pΔVより、ΔU=-pΔVとなります。ΔV>0なので、ΔU<0となります。内部エネルギーは温度に比例するため、温度も下がります。)

③c→dの過程
この過程は等温にして進められます。
等温で圧縮されることにより、気体は低温の熱源にQ2のエネルギーを放出します。

(さらに詳しく言うと、理想気体の内部エネルギーは温度のみに依存するため、等温変化の場合、ΔU=0です。ΔU=Δq-pΔVなので、Δq=pΔVとなり、圧縮されているのでΔV<0となり、Δq<0となります。内部エネルギー変化の式においてqは系が吸収した熱量と定義されるので、Δq<0ということは熱を放出しているということです。)

④d→aの過程
この過程は断熱にして進められます。
断熱で圧縮されることにより、温度があがり、元の状態まで戻します。この過程は②の逆の過程です。


さて、これらの過程で合計の仕事はいくらになるでしょうか。
サイクル全体を見たとき、④の過程により、元の状態に戻っていますね。ということは、内部エネルギーに変化はないということです。つまり、ΔU=0です。

このサイクルが吸収した熱量はQ1です。そして、放出した熱量はQ2です。
外にした仕事をWとすると、ΔU=0なので、
ΔU = (Q1-Q2) - W = 0
よって W = Q1 - Q2 となります。
(補足として、符号に注意してください。今回Q2は放出した熱量として定義しているのでQ1-Q2となりますが、Q2も吸収した熱量と定義すると、Q2<0となり、W=Q1+Q2となります。)


熱効率を考えると、 e = Q1 - Q2 / Q1 となります。

この効率が理想的な、最も良い熱効率となります。









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