コルベ電解反応のわかりやすい説明

2019年3月8日金曜日

有機化学

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有機化合物の電解反応の歴史は、コルベ電解反応からはじまりました。

そんな由緒正しい(?)反応について反応機構を中心に簡単に解説します。

コルベ電解反応とは、含水メタノールなどを溶媒として、そこに脂肪族カルボン酸と微量の塩基を加え、白金陽極で電気分解(electrolysis)を行うことで、対応するアルカンを合成する反応のことです。

一般的な反応式は以下のように表されます。


この反応は電極との間で複数の過程を経ていますので各過程ごとに説明します。

なお、以下では説明のためコルベ電解反応により酢酸を陽極で反応させ、エタンを合成することを考えます。


①物質移動過程
まず、溶媒中で電離して生じた酢酸イオンは拡散や泳動により、陽極の表面に集まります。この過程は酢酸イオンが移動していることから物質移動過程と呼ばれます。


②吸着・電子移動過程
陽極表面に到達した酢酸イオンは陽極の表面に吸着します。(吸着過程)そして、吸着した酢酸イオンは陽極により電子を1つ奪われます。(電子移動過程

電子を1つ奪われる反応は以下の式で表されます。



③化学反応過程
こうして生じた酢酸ラジカルは脱炭酸によりメチルラジカルを生じます。そして、メチルラジカル2分子がカップリングしエタンが生成します。

この過程は化学的な反応を伴っているので化学反応過程と呼ばれます。

各反応はそれぞれ以下の式で表されます。



ちなみに、コルベ電解反応の反応機構にはいくつかの説があります。

ここで紹介した機構はそれらの中でもっとも有力と考えられていて Discharged ion theory と呼ばれているらしいです。

シンプルでわかりやすいですよね。


以上、コルベ電解反応の紹介でした。

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