メチルラジカルや、メチルカチオンはsp^{2}混成するにも関わらず、メチルアニオンだけはsp^{3}混成します。なぜメチルアニオンだけがsp^{3}混成となるのかについて理由をメチルラジカルと比較しながら説明します。
メチルラジカルとはCH_{3}^{\bullet}で表される化学種です。通常の炭素原子よりも電子がひとつ多くなっています。メタンから水素原子がひとつ外れることにより生成するイメージですが、反応性が高いので普通は安定に存在することはないです。
メチルラジカルはsp^{2}混成をしています。というよりも実際には、メチルラジカルが平面構造を取っていることが実験的にわかったので、モデルとしてsp^{2}混成していると考えると当てはまりがいいよね、という流れです。
ポイントは平面構造ですね。sp^{2}混成は平面構造です。
この、メチルラジカルでは、この平面な構造に対して垂直にp軌道が存在しています。
オレンジ色がp軌道のつもりです。その中の黒丸が不対電子です。
一方で、メチルアニオンはどうでしょうか。メチルラジカルと違い、メチルアニオンには2つの電子、孤立電子対が存在します。仮にsp^{2}混成していると考えると以下の図のようになりますね。しかし、メチルラジカルと違い、2つの電子があることにより、炭素-水素結合の電子対との反発が強くなります。
そこで、sp^{3}混成をしてみたらどうでしょうか。sp^{3}混成は正四面体型なので、孤立電子対との距離が遠くなります。
よって、孤立電子対と炭素-水素結合間の電子対の反発が減ったsp^{3}混成をした方が安定となるので、メチルアニオンはsp^{3}混成するわけですね。
ちなみに、それならメチルラジカルでもsp^{3}混成をした方が安定じゃないか!と思いそうですが、sp^{3}混成はsp^{2}混成に比べ炭素-水素結合間の距離が近くてそこで反発しあいます。そのため不対電子との反発を避けようとsp^{3}混成すると、炭素-水素結合間での反発が大きくなり、全体としての反発が大きくなってしまうんですね。メチルアニオンの場合は、炭素-水素結合の反発を受け入れてでも、孤立電子対との反発を避けた方が安定化するのです。なのでメチルアニオンはsp^3混成します。