絶対配置のRS表記の決定方法について順を追って説明します。
1. 各原子(原子団)に優先順位をつける
優先順位のつけ方はどこの教科書にも載っていますが、原子番号が大きいほど優先順位が高いです。同じもの同士の場合、その原子に結合している次の原子どうしで比較します。
2-A. 優先順位4番目の原子(原子団)が点線で結合している場合
①から③に向かってぐるっと矢印を描きます。
このとき、矢印が右回りならR体、左回りならS体です。
図からわかるように矢印は左周りとなっているのでこの構造はS体です。
2-B. 優先順位4番目の原子(原子団)が直線またはくさび型で結合している場合
優先順位④の原子(原子団)が点線と結合するように入れ替えを行います。
注:1組の原子(原子団)の入れ替えを行うとRSが反転します。
入れ替えたことにより、優先順位④のHが点線で結合しています。
そうしたら 2. と同様の手順で入れ替えた構造のRSを決定します。
図からわかるように、①から③を結ぶ矢印は右回りとなりました。よってこの構造はR体です。ここで注意が必要です。今回、決定したのは入れ替えた構造のRS配置です。
1組の原子(原子団)の入れ替えによりRSが反転するので、入れ替える前の構造はS体となります。
結果的に、今回示した2つの構造はどちらもS体という結論になります。
一見すると構造が違うように見えますが、実はいずれも同じ配置だったんですね。
実は、一番初めに示した左側の構造の原子(原子団)の2組を入れ替えると右側の構造になります。1組の入れ替えでRSが反転するので2組が入れ替えられることにより元に戻ったという理屈です。